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はじめての3Dプリンター!FEPフィルム交換時のトラブル対処

3Dプリンターで造形していると、いくつか避けられないものがあります。その一つはFEPフィルムの交換です。光造形の造形方法の原理上、フィルムに光を透過させてUVレジンを硬化させています。そして硬化したレジンをプラットフォームの底面に張り付けさせて造形をします。その際に、どうしても硬化したレジンをFEPフィルムから引きはがす必要があります。

 どんなにぴんと張った状態でも何千回も剥離を繰り返すと、徐々に伸びてきてたるむようになります。さらには、フィルム表面へレジンが食いつきやすくなり、剥離しにくくなります。その結果、硬化したレジンがフィルムからはがれず、造形ミスが発生します。

 右の写真は、FEPフィルムに硬化したレジンが食いつき、はがれずに造形ミスが生じたときの様子です。

 

 

 動画は、造形ミスが生じた状態のFEPフィルムを指で弾いた時の音です。張りのない濁った音がします。

 

 

 

 

 

ちなみに、右の写真のように造形時間を積算で記録しておくと、FEPフィルムの寿命を把握しやすいです。

 前回は、160時間程度持ちました。今回も150時間過ぎたところで交換予定でしたが、生産が佳境に入っていたことや、FEPフィルムの張りの状態でもう少し行けそうとの判断から190時間まで引っ張りました。この造形を終えたら生産終了なのでフィルム交換を予定していた回で造形ミスが発生しました。限界だったのでしょう。このように積算時間をチェックしておくと、FEPフィルムだけでなく、LCDパネルの寿命の把握も容易になります。 


トラブル発生!

 早速、VATからねじを外してFEPフィルムを交換します。

 

 六角穴付きねじ、ねじが舐めました・・・

 

 VATに締め付けられているねじは対角2mmのM3×8の六角穴付き皿ねじです。

 

 前回、交換したとき、2mmの六角レンチの嵌め合いが甘かったので、次回交換時にねじ交換を考えていたのですが、甘かったですね。最初のフィルム交換時に全て日本製のねじに交換すべきでした。

 まぁ、今更いっても仕方ないので、トラブル対処をします。

 こういう時、慣れていない人は、パニックになってさらに六角レンチに力を入れて強引に回そうとしますが、無駄です。かえって、六角穴が完全に舐めてしまい、ねじが取り外せなくなります。

 

 では、どうすべきか。一回、深呼吸しましょう。こういうトラブルの時は慌てず、落ち着くことが肝心です。

 よく穴を観察すると完全に舐めたわけではないことがわかりました。山の引っかかりがあれば、工具さえあれば、なんとかなります。

 

必要な工具を準備します。今回のように完全に舐めていない状態なら、例えば、右の写真のような工具があれば、何とかなります。

 工具のお値段は大体¥900前後です。今後もFEPフィルム交換は頻繁に行いますので、一本準備しておいた方が良いと思います。こういう工具があるかないかでトラブル対処が変わってきます。無理して外そうとして六角穴が完全に舐めてしまい、ねじが取り外せなくなるとVATごと交換になります。VATは¥7000くらいします。きちんと準備しておいた方が安上がりです。

 

 では、工具を使ってねじを外します。この工具、ねじを外す方向に回すと六角穴に食い込むようになっています。六角穴に食い込んでねじを回すわけです。

 簡単に舐めていた2本のねじが取り外せました。

 


FEPフィルム交換

交換自体は以前、ブログでやり方を掲載しています。そちらを参照してください。

 今回、準備していたものをご紹介します。

 ねじです。六角穴付き皿ボルト M3×8ですね。

 VATに最初に締め付けられているねじですが、どうも中国製のねじでかなり信頼性が低いです。今回の舐めやすい点だけでなく、黒染め処理(錆び難くする処理)も甘く、錆が浮いていました。

 まだまだ、こういった細かいところでは、中国製は日本製に及ばないと思います。

 65本入ってますが使うのは14本です。まぁ、予備があれば安心して使えます。お値段的には¥400程度です。

 

 

六角のドライバーです。対角2mmの物です。¥200~¥300くらいで売ってます。先端が逃げてる形状のものもありますが、FEPフィルム交換の場合、金属枠をVATに押し付けてテンションをかけつつ、回していきたいので、先端に逃げのない(先端をそのまま切り落とした形状)ものを選んだほうがいいです。

 

 

 

 

 

 FEPフィルムを交換します。

VATの底面にFEPフィルムを置きます。

 

 

 

 

 

 

次に、金属枠をセットします。

 

 

 

 

 

 

 

 金属枠をVATに押し付けます。思いっきり体重掛けて大丈夫です。ここで、緩めるとFEPフィルムの張りが弱くなります。金属枠を全体重でFEPフィルムごと押し付けてください。

 

 

 そして、その状態のまま、ねじを対角線上に取り付けて、締め付けていきます。

 

 

 

 

 

 

 FEPフィルムをVATに取り付けた状態です。かなり、ぴんと張った状態になります。

 

 

 

 

 FEPフィルムを張り替えた直後にFEPフィルムを指で弾いた状態の音です。先ほどの180時間経過したものと聞き比べてください。

全く音が異なります。FEPフィルムの寿命は、使用時間と、表面の観察、あと指でたたいた時の音で大体把握できます。

 

 FEPフィルムを張り替えたら、VATに水を入れて漏水チェックをします。レジンが漏れたら一大事です。

 

 

問題なければ、フィルムの余った部分をカッターで切り落としてFEPフィルムの交換は終了です。

 

以上です。ご参考になったでしょうか。