技術士とは、技術士法に基づく国家資格であり、有資格者は技術士の称号を使用し登録した技術部門の技術業務を行うことができます。技術士は、科学技術の応用面に携わる技術者にとって最も権威のある最高位の国家資格であり、この資格を取得した者は、科学技術に関する技術的専門知識と高等の応用能力及び豊富な実務経験を有し、公益を確保するため、高い技術者倫理を備えた優れた技術者であることを国家によって認定されたことになります。
技術士になるには、産業経済、社会生活の科学技術に関する21の技術分野のうち、少なくとも1つの技術分野において技術士2次試験に合格しなければなりません。加えて、技術士2次試験を受験するためには、当該専門分野における最短でも4年の実務経験(技術士補の場合)が必要となります。
したがって、技術士の実力は、該当する専門分野における知識だけでなく専門分野における実務経験にも裏付けされています。
さらに技術士試験2次試験に合格後、晴れて技術士となった瞬間から、技術士には、技術士法が定める義務と責務とが課せられます。
具体的には、以下の義務と責務が技術士法において定められています。
信用失墜行為の禁止(技術士法 第44条)
技術士等の秘密保持義務(技術士法 第45条)
技術士等の公益確保の責務(技術士法 第45条の2)
技術士の名称表示の場合の義務(技術士法 第46条)
技術士の資質向上の責務(技術士法 第47条の2)
技術士には、秘密保持義務があります。
技術士の秘密保持義務違反の罰則は、1年以下の懲役又は50万円以下の罰金(技術士法 第59条)となります。一方、弁護士の秘密保持義務違反は6月以下の懲役又は10万円以下の罰金(刑法134条1項)となります。
明らかに、技術士の罰則の方が重いです。このことは、秘密事項が漏えいした場合、その経済的なダメージが計り知れないという側面を有していることに起因していると言えます。この義務は、技術士でなくなった場合にも適用され、徹底した秘密保持義務が課せられています。
次に、技術士には、資質向上の責務があります。
技術士法には、「技術士は、常に、その業務に関して有する知識及び技能の水準を向上させ、 その他その資質の向上を図るよう努めなければなりません。」と規定されています。
これは、クライアント様に高品質な技術サービスを提供するためです。 技術士は常にコストをかけてでも勉強、研究に励み、最新の技術に立ち遅れることなく努力と時間を費やしています。これにより、技術士が長年積み上げてきた知識や経験を最大限に活用するだけでなく、最新の技術でも技術支援を行うことができます。
技術士は、科学技術の向上と国民経済の発展に貢献すべく、技術課題に真摯に向き合い、そしてクライアント様との良好なコミュニケーションのもと、課題解決に向けて最良な成果が得られるよう日々努力しています。
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